私たち人類は、長い間星空をながめ、その美しさに感動し、真実を探求してきました。
紀元前3000年 |
メソポタミア文明の発達(シリウスの観測と雨期の始まり・1年の長さの観測) |
カルディア人が太陽の通り道(黄道)の星のならびに名を付け、星座(黄道12星座)が誕生 |
紀元前2800年 |
ストーンヘンジ(日食を予言するための古代天文台?) |
紀元前2000年 |
エジプトで太陽暦、メソポタミアで太陰暦が起こる |
紀元前6世紀 |
古代ギリシャ時代の自然哲学者たちの活躍 |
・ターレス(万物の根元は水・日食の予言) ・ピタゴラス(数学者・地球の形・自転・円軌道上の公転) ・デモクリトス(原子論)
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紀元前4世紀 |
・太陽黒点の発見
・アリストテレスの天動説
・アリスタルコスの地動説
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紀元前200年 |
・エラトステネスが地球の大きさを測る(夏至の太陽の視差から、地球直径を45000kmとする)
・アリストテレスの天動説
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紀元前2世紀 |
・プトレマイオスが天動説を完成
・ヒッパルコスが明るさで恒星を1〜6等に分類、月の距離、1年の長さを測定
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2000年前から |
ポリネシアの人々が、星の位置だけをたよりに大海原を航海(詳細) |
1054年 |
中国でおうし座超新星出現の記録(日本でも藤原定家が記録「明月記」) |
16世紀 |
コペルニクスの地動説 |
ブルーノの宇宙原理(夜空の無数の星は太陽と同じ星) |
チコ・ブラーエの肉眼での惑星の観測。チコの彗星・超新星の観測 |
1606年 |
ケプラー、惑星の運動の法則(楕円軌道・運動面積一定・平均距離と公転周期の関係) |
1608年 |
オランダで望遠鏡の発明 |
1609年 |
ガリレオ・ガリレイが望遠鏡で天体観測 |
・太陽黒点の再発見、木星の4衛星・土星の環とその消滅・天の川の正体等の発見
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1632年 |
ガリレオ、地動説を大成 |
1666年 |
ニュートン、万有引力の法則を考案(1687・「プリンキピア」出版) |
1682年 |
ニュートン力学に基づき、ハレーが彗星発見(ハレー彗星) |
1781年 |
ハーシェルが天王星発見(ニュートン力学にもとづく) |
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ハーシェル、銀河系の構造(銀河円盤)を発見 |
18世紀 |
チチウスとボーデ、惑星と太陽の距離の関係の研究 |
19世紀 |
アダムスとルベリエ、天王星の運動のゆらぎを発見 |
1801年 |
第一番小惑星ケレスが発見 |
1802年 |
太陽の分光観測 |
1840年頃 |
天体写真の始まり(写真の発明は1829年) |
1846年 |
ガレが海王星発見(ニュートン力学にもとづく) |
1838年 |
恒星の年周視差確認(ベッセル) |
1905年 |
アインシュタイン「特殊相対性理論」 |
1910年 |
アインシュタイン「一般相対性理論」 |
1927年 |
世界初のプラネタリウム誕生(ドイツ) |
1930年 |
冥王星の発見(トンボー) |
1931年 |
天体の電波観測の始まり |
1937年 |
日本初のプラネタリウム(大阪市立電気科学館) |
1924年 |
ハッブルがアンドロメダ銀河のセファイド型変光星を観測から距離測定
その後、宇宙の膨張の証拠を得る |
1926年 |
ゴダードが人類初の液体燃料ロケットを打ち上げ |
1949年 |
地球に接近する小惑星・イカルスの発見 |
1957年、 |
世界最初の人工衛星スプートニク1号が打ち上げ
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1959年、 |
旧ソ連のルナ3号が史上はじめて月裏側の写真撮影に成功 |
1960年代 |
地球外知的生命の探査開始(オズマ計画) |
1960年〜 |
人工衛星による惑星探査計画が始まる
1962年金星探査機マリナー2号」(米)
1970ベネラ7号、金星へ軟着陸
1975火星探査機バイキング1・2号」
1977ボイジャー1号・2号による木星、土星、天王星、海王星探査
1961年、旧ソ連が人類初の有人宇宙船ヴォストーク1号打上げ
1969年7月、アポロ11号によるはじめての月面着陸 |
1960〜70年代 |
日本人による彗星発見ラッシュ
・戦中からの本田実さんの活躍
・池谷-関彗星(1965年)の出現 |
1973年 |
パロマー山天文台惑星軌道と交差する小惑星(Planet-Crossing
Asteroid Survey:PCAS)スタート |
70年代末〜 |
日本人による小惑星発見 |
1970年〜 |
宇宙ステーション計画
1971年旧ソ連世界初の宇宙ステーション、サリュートを打ち上げ
1987年宇宙ステーションは「ミール」と打ち上げ95年完成 |
1980年 |
小惑星衝突による恐竜絶滅説登場 |
1982年 |
CCDによるハレー彗星検出(CCDは1980年頃から) |
1984年〜 |
国際協力探査計画が始まる
1984〜85 旧ソ連、欧州宇宙機関、日本による5機のハレー彗星探査機 |
1987年 |
大マゼラン星雲で超新星出現、初のニュートリノ検出 |
1990年 |
ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ |
1990年代 |
日本各地に公共天文台・プラネタリウム館新設ラッシュ |
地球近傍小天体(NEO)や小惑星地球衝突への関心が高まる |
各地で光害が深刻化。美しい星空を守る運動が発足 |
1994年 |
シューメーカー・レビー第9彗星が木星に衝突 |
1995年〜 |
国際宇宙ステーション計画始まる
1995年、スペースシャトルとミールのランデブー実験
1997年国際宇宙ステーション建設開始 |
1996・97年 |
百武彗星(96)、ヘール・ボップ彗星(97)の大彗星が相次いで出現 |
1998〜 |
しし座流星群 |
1999年 |
すばる望遠鏡完成、大望遠鏡の時代が本格的にスタート |
★天文学は、総合的自然科学。古代においては哲学そのもの
★アマチュアの活躍なしには発達しなかった天文学
★天文学ほどアマチュアが貢献できる学問はない
星空をじっくりながめて(観察して)いると、星々の美しさに感動するとともに、夜空の中の変化に気づいたり、また宇宙の奥深くに起こっている何かを探りたいという気持ちが起こってくるかもしれません。その変化を追いかけたり、調べたりするために星空と向かい合うことが「天体観測」です。
●観察と観測
この2つの言葉は、よく同じように使われることがありますが、本来はちがった意味・ニュアンスがあります。 国語事典で、「観察」と「観測」の意味を調べてみると...
「観察」:ありのままの状態を、注意して見ること
「観測」:気象・天体などの状態やその変化を観察し測定すること。
と書かれてあります。
つまり、観察と観察は“ありのままの状態を注意して見ること”で同じですが、さらに“観測”となると、その状態や変化の様子を「測定」し、記録することが必要となってくるわけです。
●なにを測定するか<観測対象の例>
・天体(主に彗星・変光星)の明るさやその変化
・天体(主に彗星・小惑星・新星・超新星)の位置やその変化
・天体(主に彗星)の形状やその変化
彗星の大きさ(視直径を角度で)・尾の長さや方向・中央集光度、など。
流星の色や爆発・分裂の状態
・流星の数や流れた経路、大流星の経路(方位・地平高度)
・太陽や流星からの電波
・日食・月食の時刻観測や状態変化。
・月による恒星・惑星の食、恒星による小惑星の食の時刻観測
*時間は日付と時刻(秒単位が要求されることが多い。中には0.1秒まで)
●手軽にできる天体観測
・流星観測
・変光星観測
・天体写真撮影
・惑星・彗星などのスケッチ
流星群は、彗星(ほうき星ともいう)から放たれた小さなチリが、地球に降り注いで光る現象です。
ペルセウス座流星群の元は、1992年12月に太陽に近づいたスイフト・タットル彗星。近年話題を呼んでいるしし座流星群はテンペルタットル彗星が、その母天体です。
これらの彗星の軌道(きどう=天体の通り道)は、地球の軌道とほぼ交わっていて、地球は毎年決まった時期に、彗星の通り道に地球がさしかかるため、この彗星のチリが地球に降り注いでくるわけです。
ペルセウス座流星群の出現は、約2000年も前の紀元36年から記録に残されていますが、昔の人々はなぜ流れ星が流れるのかわかりませんでした。流星群のヒミツが彗星と関係があるとわかったのは、1866年のことで、スイフト・タットル彗星とペルセウス座流星群、テンペルタットル彗星としし座流星群の関係がスキャパレリによって明らかにされて以来です。
さて、ペルセウス座流星群は毎年確実に出現し、その活動も見事なものであることから、1月のりゅう座流星群、12月のふたご座流星群とならんで、3大流星群とよばれます。最近は、約33年ごとに大出現を繰り返してきたしし座流星群がこれに加わり、4大流星群といったほうがいいかもしれません。
●流れ星は、どこから流れるの?
ペルセウス座流星群の場合、その名の通り、ペルセウス座の方向から流れるようにみえます。ペルセウス座流星群の流れ星の通った跡をたどると、ほぼ一点から流れ出るように見え、この点を輻射点(ふくしゃてん)とよんでいます。1年の間に、主なものだけでも12の流星群がありますが、一般にそれぞれ輻射点がどの星座にあるかによって流星群の名前が決められています。
この図のように、流星群の名前となる星座だけで光るわけではありません。流れ星は、全天をほぼまんべんなく流れます。ですから、できるだけ広い範囲をながめるようにしましょう。
●何時頃見えるの?
流星群は、輻射点が地平線より高く昇らないとみえません。空が暗くなればそれなりの数が飛びそうですが、実際には輻射点が地平線から10度以上高くなってから目に見えてふえだすようです。
その時間以降は、地平線がどんどん高くなるので、流れる数も増えてきます。未明の3時ごろには、地球の進行方向と流星の元となる物質の分布の関係で、一般に、明け方が多く流れるといわれます。ですから、流星群をたくさんみるには、お体と相談の上、ぜひ徹夜しての観察をおすすめします。
●どのくらいの流れ星が見えるの?
流星群とはいっても、昨年11月19日にヨーロッパで見られたしし座流星群のように、雨のように流れ星が降りしきるのは滅多にあることではありません。
よく、天文雑誌などに、「流星群の1時間あたりの数」がありますが、これは、流星群の極大時(活動が最も活発になった時)に、空の暗い場所で空全体をながめたときの数です。ですから、街の中にある自宅の窓から見たときは、まったく見えないこともあります。また、「○月○日が極大」といっても、輻射点が地平線から高くならない夜9時頃では、ほとんど流れないかもしれません。流れ星は、まるで「節分の豆まき」のようなものです。1分のうちに数個見えるときもあれば、数十分もまったく飛ばないこともあります。
●流れ星を見る〜ポイント
@明るい流れ星が多いのがペルセウス座流星群の特徴。観察場所は空が暗いほうが理想的ですが、自宅付近でも十分楽しめます。星の観察を安全に楽しめる場所を、あらかじめさがしておきましょう。
A流星はいつ、どこに流れるか、まったく予想がつきません。10分以上も流れなかったり、数秒のうちにたくさん流れたり、まるで「節分の豆まき。」
また明るい家の中から外に出ても、眼が星空に慣
れるまで10分以上かかります。最低でも、30分以上 じっくり、ゆったりと流れ星を待ちましょう。
B流星は空全体ほぼまんべんなく現れます。広い範囲を眺めましょう。
C10分間とか1時間というふうに観測時間帯を決め、その間に見えた流星の数を数えてみましょう。
D流れ星の光っている時間帯は、ほとんどが1秒以下。願い事は短めがいいようです(^^)。
E最後に、一番大切なことを。8月の朝方は予想以上に冷え込むことがあります。高地で観測される場合はもちろん、防寒着は準備して風邪を召さないように....。
ペルセウス座のβ(ベータ)星・アルゴルとくじら座のο(オミクロン星)のミラは、明るさを変える星の代表格です。今日3万5千個を越える変光星の中でも「超」有名な星です。
アルゴルは、普段は2等星ですが、約3日おきに3等まで暗くなる星。
ミラは約100日で、2等から10等まで明るくなったり暗くなったりを繰り返す星です。
どちらも、明るさを変える「変光星」で、肉眼でもその明るさの変化の様子を観測できます。
ミラは、10月30日頃、明るさのピークを迎えます。また、アルゴルが暗くなるピークは下の表の通りです。まわりにある明るさのわかっている星とくらべることによって、ある時刻の光度を観測することができます。
この場合の観測とは、“いつ、どのくらいの明るさか”を測って記録に残すことです。時間は「分」まで、明るさの尺度は「等級」を使います。
(1)他の星と比べて明るさを調べる
基本は、明るさのわかっている星と比べることによって、明るさを変える星(変光星)の明るさを目で測るという方法です。
ほとんど同じ明るさの星があれば、変光星の明るさはその星と同じ明るさとします。
しかし、アルゴルや極大期のミラは明るい星なので、近くにほとんど同じ明るさの星はめったにありません。
そこで、「あの星とあの星の中間ぐらいだから、2等星くらいかな?」「あの星とこの星の間の明るさだけど、この星の方に近いからう〜ん、まあ1.5等と2等の間。1.7等星ぐらいかな!?」というふうに明るさを見積もります。
しかし、この方法はおおざっぱな方法です。より正確に観測したいという方は、次の(2)からの方法を使ってください。
(2)より、正確な方法 ---「比例法」
次のように、明るさを比べる星(比較星・ひかくせい)をさがし、比較します。
@変光星より少し明るい星(仮にaとします)と少しくらい星(b)をさがします。
Aaとbの明るさに、変光星の明るさががそれぞれどれだけ近いかを見くらべます
Baとbの明るさを(頭のなかで)10段階し、変光星は“aにいくつbからいくつ”と考え、つぎのようにメモします。
明るさがaのほうに近ければ、その程度によって、 a (1) v (9) b ・・・かなり(a)にちかい
a (2) v (8) b
a (3) v (7) b
a (4) v (6) b ・・・ほとんど同じだが(a)にちかい
もし、変光星が、aとbのちょうど中間ならば、 a (5) v (5) b
明るさがbのほうに近ければ、その程度によって、 a (6) v (4) b ・・・かなり(b)にちかい
a (7) v (3) b
a (8) v (2) b
a (9) v (1) b ・・・かなり(b)にちかい
もし、変光星が、a、またはbとまったく同じならば、 v=a、v=bなどとメモします。
Cたとえば、a星が1.6等、b星は2.2等。aにわりと近くてbよりかなり暗く、“Aに2でbから8”と考えたとします。
観測した時刻とともに次のようにメモします。
2000年*月*日 *時*分*秒
a (2) V (8) b
*(Vは明るさを変える星・Variableの意味です)
*もちろん、aとbの星が、何座の何という星かということもメモしておきます
Dあとは計算です。
・明るさは、その星の等級から小数点をなくした2桁の数字とします。たとえば2.4等は“24”として書きます。
(bの明るさ−aの明るさ)
変光星の明るさ = (a)の明るさ + ------------------------------------
10
<説明>
・aとbの明るさの差を<C>とすると C = 22-16 =6
・aとbの明るさの差の1段階がどのくらいかは、Cを10で割ればいいから、6÷10で0.6(0.6等ではなく、実際は0.06等)。
・aから2段階暗いということは、aより (C÷10)×2 = 0.6×2 =1.2数字が大きいということ。
・aの明るさは16としているので、16+0.6=16.6
・小数点をつけなおして、1.66等。
・誤差を考えて、観測地は1.7等とする。
以上の観測法を、変光星観測では「比例法」と呼んでおり、初心者の方にもおすすめです。
(2)比較星選びの注意点〜より正確な観測とするために〜
次のいくつかを頭に入れると、さらに正確な観測となります。
@同じ色の星と比べる。一般に赤い星は、青い星と比べて人間の目に感じる明るさが違うので選ばない。
A地平線からの高さ(地平高度)ができるだけ同じ星を選ぶ。地平高度が低くなると、地球の大気の吸収で、本来の明るさより暗くなってしまうからです。
B可能であれば、複数の比較星を選んで何回か観測し平均する。
(3)観測報告の書き方
たとえば、次のように書きます。
例1)さそり座デルタ星
2000年7月23日 21時13分30秒(JST)
1.7等(肉眼による目測)
観測者 遊佐徹 (観測場所・連絡先・住所) |
例2)さそり座デルタ星
2000 July
23.509(UT)
mag=1.7
Obs. Toru Yusa |
参考:世界時(UT)について
せっかくの貴重な観測。そのとき、その星を見ているのは、全世界であなた一人かもしれません。変光星の観測報告は、@変光星の名前、A観測時刻とB観測した光度、C観測者名の4点です。
ただし、変光星は外国の観測者にとっても貴重な資料になりますので、世界共通の時刻で報告する約束になっています。世界共通の時刻とは、グリニッジ天文台(経度0°)を基準とした「世界時(Universal Time =UT)」で、次のように求めます。
{日本時間の“時(30時間制)”−9}+分
世界時=------------------------------------
1440
例)1999年9月18日21時13分(日本時)をUTに変換する
@観測時刻の21時から、グリニッジとの時差(9時間)を引く
21−9=12
A12に60(1時間あたりの分数)をかける。
12×60=720
B720に、観測時刻の分数(13)をたす。
720+13=733
C上記の分数(732)を1日の分数(1440)で割る。
732÷1440=0.509027...
*以上の計算は電卓で、(21−9 ×60 + 13 ÷1440) で求まる
D時刻の精度を考え、小数点を丸める(1分=0.0007日)
0.509027 → 0.509
*小数点5桁以下は無意味ですので。通常3桁で十分。
E日付に、Dの値を足す。
観測時刻: 1999. Sept.18.509(UT) |
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