初歩の天体観察 bR |
望遠鏡で見る彗星と星雲星団
第3回 初歩の天体観察資料 2000.7.29
【2000年8月10日公開・更新】
望遠鏡の基礎知識
1.天体望遠鏡ってどんな機械?
天体望遠鏡は対物レンズもしくは反射鏡を用いて、
@天体からの光を集めて像をつくり、
A接眼レンズで、拡大して見る 観測機器です。
2.屈折式と反射式
光を集めるのにレンズを使うか、鏡を使うかによって、大きく2つの形式に分けられます。
@屈折式 ・・・ 凸レンズを用いている鏡筒
A反射式 ・・・ 凹面鏡を用いてい る鏡筒
3.口径
レンズや鏡の直径(口径)が大きくなるほど星からの光をより多く集めることができます。したがって、口径の大きさは望遠鏡の性能を左右する大切なもので、望遠鏡の名称は、一般に望遠鏡の口径と形式を並べて「**cm屈折(反射)望遠鏡」とよばれます。口径が2倍になると、光を集める力は4倍になります。
4.接眼レンズ(アイピース)と倍率
よく「この望遠鏡は何倍ですか」と聞かれますが、望遠鏡の倍率は接眼レンズ(アイピース)によって自由に変えることができます。焦点距離は長い接眼レンズを使えば倍率は低く,短い接眼レンズを使えば倍率を高くすることができます。
倍率 =望遠鏡の焦点距離 ÷接眼レンズの焦点距離
5.望遠鏡の各部の名称
特に大切な場所は次の通りです。
○鏡筒(きょうとう)
○赤道儀
星の動きにあわせて望遠鏡を動かす○三脚
○ファインダー
低倍率で広い範囲をさがせる小さな望遠鏡○接眼レンズ
アイピースともいいます
○ピントリング
ピントを合わせるのに使います○固定ねじ
○モータードライブ
○コントローラー
望遠鏡の動きを微調整するために、東西方向と南北方向に動かすボタンがついています。
微動ハンドル
南北方向のモータードライブがついていない望遠鏡などは、このつまみで望遠鏡の動きを微調節します。
・目を接眼レンズにまっすぐつける。
(その他)
・もう一方の目は軽くつぶるか、手でおおいかくす。
・接眼レンズにつかまったり、強く揺すらない。
・ピントを合わせるとき、必ず固定ネジをゆるめる。
・接眼レンズ面をさわったり、息を吹きかけない。・暗やみの中なので足下に注意する。
・望遠鏡に振動が伝わるので走り回らない。
・まぶしい光を見たり、他人に当てない。
いよいよ望遠鏡をのぞく
1.いよいよ、星をみる
ファインダーで目的の天体を導入
ポイント 天体望遠鏡で見ている像は、肉眼で見える像の逆となります。
望遠鏡での天体探しの基本は、肉眼や双眼鏡での星座観察の方法です。
低倍率で目的の天体を確認
ポイント はじめは思いっきり倍率を下げて、目的の天体が視野の中にあるかどうか確かめます。
基本:低倍率→中倍率→高倍率→中倍率の順で見ていく 2.ピントを合わせる。
前の人が見た後に望遠鏡がよく見えないということはよくあります。
これは、ピントが、近視や遠視の入りぐあいによって、個人差があるからです。のぞいてみて、よく見えないという場合は、遠慮せずにピントを合わせなおしてください。
ピントは、小型望遠鏡の場合は「ピントリング」を回す方法、大型望遠鏡の場合はピント合わせのためのコントロールボックスのレバーで調節します。
*ピントリングは、必ず固定ネジをゆるめてから回します。
3.星雲や彗星など暗く淡い天体をよく見るために
最近、ハッブル望遠鏡やすばる望遠鏡など大望遠鏡ですばらしい天体写真を目にすることが多くなりました。ところが、同じ天体を小型望遠鏡で見ると、色もなく細かな模様もほとんど見えません。中にはがっかりする方もおられるかもしれません。しかし、それが「人間の目でとらえた生の宇宙の姿」なのです。
でも、じっくりと見れば、かすかな姿の中にも大宇宙から届くメッセージを感じ取れるはずです。ぜひ、星雲や彗星など暗く淡い天体をよく見るためのコツを身につけてください。
暗い星を見るコツ 「そらし目」
人間の目は、網膜の中心より周辺部のほうが暗い光に感じる力(感度)が高いという性質があります。
暗い天体や淡い天体を観察するときは、目的となる天体を「にらみつける」のではなく「そらし目」で見るようにします。具体的には、望遠鏡の視野の周辺に目線を置き、しかも全神経は目的とする天体に集中させるというものです。やってみると以外に難しいのですが、是非コツを身につけてください。
@まずは、低倍率で、目的の天体の存在を確認目が慣れていないので、ほとんど何も見えてこないかもしれません。 そらし目にしながら見ると、恒星の点状の光とは違うボウっとしたも
のが見えてくるかもしれません。おそらく、それが目的とする天体です。
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Aよく見えない場合は、少し倍率をあげる。 倍率を高くすれば、背景の空の明るさが暗く見えるので、コントラストがはっきりしてきます。あまり高くしすぎると、天体そのものの明るさも暗くなり、またはっきり見えなくなってしまいますので、少しずつ高くしていくようにします。
B見える場所を良く覚えておき、細かな構造などに注意しながら、 さらに倍率を上げてみる。 |
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Cよく見えるぎりぎりの倍率まで上げてみる。
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D一番よく見える倍率まで下げて、じっくり観察する。 倍率が高すぎると、かえって見えにくくなることがおわかりになったことでしょう。今度は、逆に少しずつ倍率を低くしていってみて下さい。すると、先ほどまでより明るくはっきり見えてくるはずです。これは、倍率を少しずつ上げながら、長い時間その天体を観察し、目が暗い天体に慣れてきたためです。 空気のゆらぎがピタリと止める瞬間があります。そのとき、ほんの一瞬ですが、細かな構造が見え、すばらしいながめになることでしょう。 |
夜空の宝石箱・星雲・星団を望遠鏡でみる
1.星雲星団の種類
星雲・星団の種類
星 雲 |
銀河系内 | 散光星雲 | オリオン座大星雲(M42)
, 干潟星雲(M8)
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惑星状星雲 | かに星雲(M1) 、 ドーナツ星雲(M57) | ||
暗黒星雲 | 三裂星雲(M20) 、 馬頭星雲 | ||
銀河系外 |
系外星雲 | アンドロメダ大星雲(M31) 、 M33 子持ち星雲(M51) 、 |
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星 団 |
散 開 星 団 | プレアデス星団(M45) 、 二重星団(h-χ) 、 | |
球 状 星 団 | M13 、 M4 、 M2 、 M15 |
●散光星雲・・・・銀河系内のガスやちりなどの星間物質が光って雲のようにみえる。自分自身で光り輝くものと、近くの星に照らされて輝くものの2種類ある。若い星団を伴うことが多い。
M8、M16、M17、M20、M42、M43、M78など●惑星状星雲・・・死にかけた星から放出したガスや、むかし星が爆発した際に飛び散ったガスや残骸が照らされて光っている。
M1、 M27、M57、M76、M97など●暗黒星雲・・・・遠くにある星や散光星雲の光をさえぎって、黒く抜けたように暗黒に見えている部分。何も存在しないのでなく、むしろ、ここから星が誕生することも多い。
●系外星雲・・・・私たちの銀河系と同じ、1億から1兆個の星と星間物質の集まり。
M110など・棒渦状銀河……M58、M95など
・楕円銀河………M32、M49、M59、M60、M84、M85、M86、M87、M89、M105、
・不規則銀河……M82など
・渦状銀河………M31、M33、M51、M61、M63、M64、M65、M66、M74、M77、M81、M83、M88、M90、M94、M96、M98、M99、
M100、M101、M104、M106、M108、M109など
●散開星団・・・・数十個から数千個の、比較的若い星が集まった星のグループ。銀河系の円盤部に多く集まっている。約2000個見つかっている。
(
M6、M7、M11、M18、M21、M23、M25、M26、M29、M34、M35、M36、M37、M38、M39、M41、M44、M45、M46、M47、M48、M50、M52、M67、M93、M103など)●球状星団・・・・数万から数百万個の年老いた巨星のあつまり。銀河系の周囲に散らばっている。
銀河系の回転とは関係のない運動をしている。約100個ほど見つかっている。
(
M2、M3、M4、M5、M9、M10、M12、M13、M14、M15、M19、M22、M28、M30、M53、 M54、M55、M56、M62、M68、M69、M70、M71、M72、M75、M79、M80、M92、 M107など)2.M78星雲の「M」ってなに?
M78星雲は有名ですが、本当にあるのでしょうか。答えは「ある」です。星雲星団を表す記号に、MやNGCなどがあります。
M・・・・メシエ(Messier,
1730-1817)が作った明るい星雲・星団表の番号NGC・・New General Catalogueの略
IC・・・Index Catalogue の略
PAL・・パロマー写真星図からアベルが発見したもの
天界の放浪者・彗星をみよう
1.彗星の正体:「汚れた雪だるま」
核:氷の中にチリがたくさんつまった状態。直径数百m〜数10km。2.彗星の構造と名称
3.彗星のみえかた
さそり座デルタ星を観察しよう
流星を観察しよう
1. 流れ星の正体
太陽系をただよう宇宙のチリ
★重 さ ・・・・・( )
★大 き さ ・・・・・( )
★一日の総量 ・・・・・( ) ★地球への突入速度 ・・・・・( )★流星の正体は( )
2. 流れ星のたくさん飛ぶ夜 〜流星群
主要な流星群
主な流星群 | 出現期間 | 極大日 | 出現数 | 母彗星(母天体) |
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りゅう座 | 1月1日〜1月5日 | 1月4日 | 20 | 不明 | |
こと座 | 4月16日〜4月25日 | 4月22日 | 〜10 | 1861I | |
みずがめ座 | 4月25日〜5月10日 | 5月6日 | 〜10 | ハレー彗星 | |
ペルセウス座 | 7月20日〜8月20日 | 8月12日 | 50 | スイフト・タットル彗星 | |
おうし座 | 10月15日〜11月30日 | 11月上旬 | 〜10 | エンケ彗星 | |
ジャコビニ | 10月9日 | 10月9日 | 〜10 | ジャコビニ彗星 | |
オリオン座 | 10月10日〜10月30日 | 10月29日 | 12 | ハレー彗星 | |
しし座 | 11月15日〜11月22日 | 11月18日 | 30 | テンペル・タットル彗星 | |
ふたご座 | 12月7日〜12月18日 | 12月14日 | 50 | 小惑星3200(パエトン) | |
こぐま座 | 12月18日〜12月24日 | 12月22日 | 〜5 | タットル彗星 |
*極大日および時刻、出現数は年によって異なる。また、 出現数は,極大時の1時間当たりの出現数。
3.流星群の起こるヒミツ
彗星の軌道と地球の軌道が交わっていれば
.... 一年に一度、地球が そこを通るたびに..... 彗星の残していったチリ が地球とぶつかって... 空の決まった方向から、流れ 星がながれる4.輻射点・・・・どこから流れ星は流れてくるように見えるのでしょうか
5. ペルセウス座流星群の観測法
@観察場所は空が暗いほうが理想的ですが、今年のペルセウス座流星群は満月近くの月が輝いていますので、自宅付近でも十分楽しめます。星の観察を安全に楽しめる場所(みはらしがよく、暗く、安全な場所)を、あらかじめさがしておきましょう。
A流星はいつ、どこに流れるか、まったく予想がつきません。10分以上も流れなかったり、数秒のうちにたくさん流れたり、まるで「節分の豆まき。」また、明るい家の中から外に出ても、眼が星空に慣れるまで10分以上かかります。最低でも、30分以上じっくり、ゆったりと流れ星を待ちましょう。
B流星はペルセウス座だけでなく空全体ほぼまんべんなく現れます。広い範囲を眺めましょう。
C10分間とか1時間というふうに観測時間帯を決め、その間に見えた流星の数を数えます。
D流れ星の光っている時間帯は、ほとんどが1秒以下。願い事は短めがいいようです(
^^)。E最後に、一番大切なことを。8月の朝方は、結構冷え込みます。虫除けと防寒着の準備はしっかりしましょう。
望遠鏡でのみえかたを左右する条件
夜空は常に一定の条件ではありません。よく澄んでいたり、霞んでいたり、また大気の状態によっては星の瞬きが激しかったりします。星空の観察は、空の状態に左右されていると言っても過言ではありません。この、空の状態を指し示す言葉に、「シーイング」と「透明度」があります。
シーイング
星は、気流の影響で、いいかえれば地球大気の乱れによって、かげろうのようにユラユラゆらめいたり、波を打つように踊っているように見えたりします。この状態を「シンチレーションがひどい」といいます。
シンチレーションがもっとも少ないのは、4月〜5月頃と10月頃で、一日の中では、夜半前後と明け方、午前中です。反対にもっともひどいのは、冬期間と、午後から宵の内です。また、高気圧が通過しこれから天気が下り坂になるときがもっともよく、そのような機会をとらえることも重要です。日本の空で、シンチレーションがほとんどなく、星が静止して最高のときというのは、年に数日しかないといわれています。
この「星の見えぐあい」をシーイングと呼んでいます。シーイングの悪いときは、高倍率をかけてもよく見えません。
透明度空の空気の澄み具合を「透明度」といいます。透明度が悪いと、暗い星が見えなくなってしまいます。冬の空は、シーイングは悪いのですが、透明度は最高です。