初歩の天体観察 bS |
望遠鏡を操作しよう(太陽観測)
第4回 初歩の天体観察資料 2000.8.5
【2000年8月5日公開】
今回は、太陽という身近な天体の観測を通して、望遠鏡の簡単な操作方法を学びましょう。
後半は、インターネットによる調査活動です。
望遠鏡を準備しよう
1.望遠鏡を組み立てる
望遠鏡メーカーによって、一部仕様が異なる部分はありますが、基本的には同じです。ここでは、赤道儀式の望遠鏡を例に説明します。
(1)三脚の組み立て
・三脚を開き、三角板を取り付けた後、水準器を見ながら水平に据え付ける
(
2)赤道儀の取り付け・星を追尾するために、極軸を天の北極(北極星の近く)に向けて取り付ける
(
3)バランスウェイトの取り付け・ウェイト軸を赤道儀に取り付ける
・抜け止めネジをとり、バランスウェイトを適当な位置で固定ネジで固定
・抜け止めネジを必ずしめる
(
4)鏡筒の取り付け・極軸と垂直になるように赤緯クランプをゆるめて赤道儀を動かし、鏡筒を載せる
(鏡筒は、抱きかかえるようにしてしっかりささえる)
(
5)アクセサリー等の取り付け・ファインダーや追尾装置、接眼レンズ(はじめは
mm数の大きいもの)、太陽投映盤など必要な装置を取り付ける
・鏡筒、ファインダーのキャップをはずす
これで、望遠鏡の組み立ては完了です。分解するときは、逆の順番で行います。
2.観測する前に
(
1)望遠鏡のバランス調節・望遠鏡によけいな力が働かないように、必ずバランスの調節をします。ちゃんとしておかないと、目的の星をうまく導入できないばかりか、故障の原因となるので注意が必要です。
・バランス調節は、次の2回にわけて行います。
@望遠鏡の前と後
・レンズキャップを外し、低い倍率のアイピースを取り付けておく。
・クランプをゆるめ、鏡筒バンドのなかで少しずつ回転させながら左右に動かし、調整する。
・手を離して止まっていること
・次に同じくらいの力で動かしてみて、振れが同じであること
・クランプや鏡筒バンドは確実に固定すること
A望遠鏡とバランスウェイト
・バランスウェイトをゆるめ、左右に動かしながら調整する
・バランスの固定ねじや脱落防止のねじはしっかり固定すること
・それぞれの調整で、しっかりバランスが合ったら、空のいろいろな方向に向けてみて、2つの軸のバランスが合っているか確認する
(2)ファインダーにキャップがついているか確認
・ファインダーとは、目的の天体を簡単にみつけるために使う補助望遠鏡のこと。一般の観測には非常に大事ですが、太陽観測ではむしろ危険なので、使いません。太陽に望遠鏡を向ける前に、キャップをしっかりしておきましょう。
(3)極軸の調整
・星は地軸(北極星付近)を中心にして1日1回転しているように見えます (星の日周運動)。この日周運動に合わせて動かせる架台が、赤道儀です。
@方位磁針を用いて、赤道儀を北に向ける。もし北極星がわかれば、その方向に向ける
A赤道儀の高度調整ネジをまわし、観測地の緯度(大崎は約38.5度)に合わせる
B極軸望遠鏡がついている場合は、北極星が視野の中に入るように調節する
*なお、高倍率での観測や天体写真撮影などで、その性能を発揮させるには、きちんとした据付作業が必要となります。
(4)ピントを合わせておく
*ピントリングを回すときは、必ず固定ネジをゆるめてからにしましょう
太陽観測の際の注意と準備
1.太陽を観測する際の注意太陽は非常に明るい天体です。その明るさは、100ワット電球の実に
385000000000000000000000000個分に相当します。
また、望遠鏡のレンズは、熱と光を集めます。
失明のおそれがありますので、ぜったいに望遠鏡を直接のぞいてはいけません。
また、やけどしないよう、接眼レンズからの太陽光には、十分に注意してください。
さらに、薄雲を通して丸い太陽の形や黒点を見ようとしないでください。夕日なども、ちょっとの時間と思って見つけると、目を痛めます。
肉眼で太陽を観察するときは、専用の太陽観測フィルターを使うようにします。次のものは、赤外線を透過させるので、網膜をやけどさせる危険性があります。
次のものは使ってはいけません
×サングラス ×黒い下敷き ×カラーフィルムの現像した黒い部分
3.太陽投映盤に観測用紙を取り付け、太陽を望遠鏡に導入する
観測用紙の円がだいたい真ん中になるように、投映盤に洗濯ばさみ等で取り付けます。あとは、その円の中に、太陽を重ねます。
さきほど、太陽を直接見てはいけない、と書きました。では、太陽を望遠鏡の視野に入れるには、どうしたらよいのでしょうか?
答えは、望遠鏡を動かして、望遠鏡の影が一番小さくなるような姿勢する方法です。
4.ピントを合わせる。
ピントリングを回し、太陽の縁がくっきりとなるよう調節します。
*ピントリングは、必ず固定ネジをゆるめてから回してください。
5.太陽を、用紙の丸い円に重ねる。
望遠鏡は、東西方向と南北方向に動きます。 東西方向に動かすには、コントロールボックスの黄色いボタンのいずれかを押します。南北方向に動かすには、微動ハンドルを回します。
東西方向に動かすとき
南北方向に動かすとき
太陽観測用紙の例
・日時:観測開始時刻と終了時刻
天候:雲の量など、天候状態。シーイング:大気のゆらぎや透明度の状態を、よい順番に5・4・3・2・1とする。
望遠鏡:口径・種類を、「8cm屈折」などと記入。
・黒点相対数
=黒点群数×10+黒点数
いよいよ太陽を観測する
1.太陽の全体を見渡す
どこに、いくつくらいの黒点があるかを見渡します。また、見落としそうな小さな黒点がないかを注意深く見てみます。
2.スケッチをとる
@どの黒点からでもいいのですから、とにかく書き始めましょう。まずはじめに、位置だけを正確に記入していき。あとで大きさや形を表現していきます。
A小さな黒点などは、本当の黒点なのか、紙のゴミなのかわかりずらいので、しろい紙を用紙の前で動かして確認します。紙を動かしても、動かないものが黒点です。
B注意深く見ると、黒点のまわりに、薄暗い部分が取り囲んでいます。これを半暗部(はんあんぶ)といいます。半暗部は、いったんその形どおりに周囲をなぞり、中を薄く ぼかしながら塗るようにします。 Cさらに良く注意すると、表面より明るい部分が見えることがあります。これが、白斑(はくはん)です。白斑は、点線などでその形をなぞり、白斑であることをメモして おきます。Dまた、表面に、小さなつぶつぶがたくさん見えることもあります。これは
粒状斑(りゅうじょうはん)です。粒状斑が見えたら、用紙のすみにメモしておきます。
〜観測中に太陽がずれてしまったら〜
5で説明した方法で、望遠鏡の向きを微調節します。
〜太陽がずれないようにするコツ〜
・投映板を強く押したりさわったりしない。
・鉛筆を持たないほう手を投映盤に軽くそえ、位置を微調整する。
・黒点をスケッチするとき、まずは、黒点の位置だけを軽いタッチで印を付けていき、大きさや形の表現は後回しにする。
・こまめに、微動装置で修正する。
3.時間を記録する
・観測開始時刻と終了時刻を記入します。
・時刻は、24時間制を使います。日本時間で記入しても良いのですが、世界時(日本時間から9時間を引く)で書くとと、後で人工衛星の画像等と比較することが楽になります。
4.黒点の移動を利用して、西の方向を記録する
モータードライブを止めれば、日周運動で太陽が動きます。つまり、太陽や黒点の動いていく方向が西です。中央に目立つ黒点があればそれを、なければ大きな黒点を中央付近に移動させ、モータードライブを止めます。数秒おきに、黒点の位置に小さな×(ばってん)印を記録していき、その方向に「→西」などと書いておきます。
インターネットで、今日の太陽面を見てみよう
1.インターネットの基本的な使い方
・マウス・・・・・・・通常の操作は、マウスだけですべて行えます。
・クリック・・・・・・マウスの左ボタンを一回押します。
・ドラッグ・・・・・・マウスの左ボタンを押したまま、マウスを移動します。・文字入力
「Alt」+「半角全角」で、日本語入力状態に。
「変換」キーで、日本語・英語切り替え
2.情報の探し方
@リンク集をたどっていく方法
・パレットおおさきの天文リンク(パレット星空情報)から
・アストロアーツホームページ天文リンク集から
・横浜こども科学館天文ニュース・天文リンク集から
・その他
Yahoo!
、Infoseek等BURL(住所)を、ブラウザのURL欄に直接打ち込む方法
3.パレットおおさきのホームページから、NASAへ
@パレットおおさきホームページ
↓
A「プラネタリウム・天文情報」のページ
↓
↓
↓
DSOHOのMDI画像と、今日スケッチした太陽をくらべてみよう
4.インターネット宇宙探検をしよう
調べたいテーマ: |
・わかったことをメモしましょう。