10日午後2時ごろ、大規模なフレア発生!
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| 大型黒点9415に、10日午後2時頃、大きなフレアが発生しました。発生したのは、9415とよばれる領域で、太陽面の中央近くに位置する大きな2つの黒点の間で、GOES衛星によるXレイ量の測定値によれば、午後2時26分のピーク時には、X2.3と記録されました。 さる4月2日朝に観測されたX20とくらべれば小さなものとはいえ、地球のほぼ正面での大規模フレアということで、今後地球への影響が懸念されます。 |
フレアの発生から衰退までの過程
@13時52分32秒 発生直前 D14時19分16秒 コブの部分が強烈に輝きだしている H14時35分57秒 徐々に拡散していく |
![]() 撮影:パレットおおさき屋上天文台にて。 |
<解説>
1.今回の現象について
今月10日午後2時過ぎに、大型の太陽フレアが発生しました。発生したのは、先週より出現していた大黒点群9415領域付近で、当日は地球からみて太陽面のほぼ中心付近に位置していました。
パレットおおさきでは、屋上天文台にある太陽フレア監視用のフィルターを装着した10cm屈折望遠鏡で、この現象をとらえることに成功しました。観測は、現象の2時間前の正午から午後5時まで行われており、太陽フレアの発生から成長、極大期、衰退までの全過程をデジタルビデオで撮影することに成功しました。撮影は、接眼レンズを装着した「拡大法」によって行われ、高精細な画像を得ております。
発生直後、小さな白い斑点が黒点群付近に現れだし、数分後には、それらが線状につながったり白く輝く大きな塊として成長し、午後2時20分過ぎにピークを迎えました。その後1時間近く、形状を変えて広がりながら、徐々に輝きを弱めながら、線状の明るい部分は午後5時過ぎまで低空の薄曇りの中でも見えていました。
太陽フレアの規模は、米国の気象衛星GOESに搭載された装置によるX線強度で、最大X2.3でした。3月2日朝に観測された最大級のフレアX20に比較すれば小さいですが、地球からみて太陽面の中心付近に位置しております。大きな地磁気嵐に結びつく可能性もあります。
(右:GOES衛星によるXレイ量のグラフ・ |
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2.今回の現象の背景となる太陽の活動について
現在、太陽の活動は非常に活発であり、今がまさに、11年ごとに訪れる「太陽極大期(ソーラー・マックス)」にあると思われます。
報道の通り、先月末に過去10年間で最大規模の太陽黒点が出現し、今月2日朝方には25年間の観測史上最大の太陽フレア(太陽面爆発)が発生しました。これら一連の太陽活動により、太陽からは電気を帯びた粒子が惑星間空間に放出。その影響で、地球の高緯度地方では連日のようにオーロラの乱舞が観察されています。国内でも、先月末から今月始めにかけ、昨年に引き続き北海道でオーロラが観測されたのに加え、長野でもオーロラの撮影に成功しました。本州でのオーロラ出現が確認されたのは、1989年10月21日以来12年ぶりのことであります。
そのような中、今月はじめより新たな大黒点が発生しており、肉眼でも視認できる肉眼黒点となっていました。その黒点群付近は、アメリカ海洋大気局(NOAA)により、9415領域とよばれていました。今回の太陽フレア発生時は、地球からみて太陽面のほぼ中心付近に位置していました。
3.太陽フレアとは
太陽フレアとは「太陽面爆発」ともいいます。
太陽面の黒点群の上空にあるプラズマガス中のエネルギーが爆発的に放出される現象とされています。しかし、フレアの発生のメカニズムには、未解明な部分がまだ多く残されています。最大級のフレアでは、大型の火力発電所が数十億年分の発電量に相当するエネルギーを、わずか数時間の間に解放する非常に壮大な現象であるとのことです。大規模な太陽フレアが発生すると、地磁気嵐やオーロラを発生させるとともに、太陽プロトンと呼ばれる高エネルギー粒子を発生させます。これらの影響により、無線通信に影響が発生したり、衛星搭載機器の誤動作、障害を招く事があります。また、近年では、宇宙活動の進展に伴い、有人宇宙活動における放射線被曝も懸念されています。