昨年11月にアメリカのリンカーン天文台の観測チーム「LINEAR」が発見したこの彗星は、現在、秋の星座・くじら座からちょうこくしつ座を南下しています。11月に入って光度が急上昇し、下旬には5等台に突入。条件の良い場所では、肉眼でも小さな淡い雲のように見える「肉眼彗星」となっていました。同観測チームが今年発見し、初夏に南天で3等級まで明るくなったリニア彗星(C/2001
A1)に続いて、今世紀2個目の「肉眼彗星」となったわけです。
下の写真は、12月8日にパレットおおさきで行われた「星を見る会」直後に撮影したリニア彗星の姿です。市街地での撮影であるため、淡いところが見えにくいのですが、上の方に幅の広い尾が伸びているのがわかります。また、彗星と地球の距離が比較的近いため、5分露出の間に彗星が移動してしまっています。
2001年12月8日のリニア彗星 |
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撮影データ 2001年12月8日20時36分(5分露出)
30cm反射望遠鏡(fl3750mm・F/12.5)で直焦点撮影
ノータッチガイド
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11月にきわめて順調に明るくなったリニア彗星(C/2000 WM1)は、12月に入ってから光度の上昇が鈍くなっています。
古川市郊外で私(パレットおおさき・遊佐)が行った7日の観測(下のスケッチ)では6.5等と、むしろ暗くなっているような印象を受けました。これには、地平線からの高さが低かったこと、夕方の空気の汚れ、市街地の明かり(光害)などの影響も大きく影響しているようです。
彗星自体も、大きく拡散してしまっているため、明るさは数字以上に暗く感じてしまうかもしれません。
今後、さらに低くなってしまうため、残念ながら肉眼で見ることはできないでしょう。空の暗い場所で、双眼鏡は是非必要なところです。、
この彗星は、12月下旬には日本からは見えない南の空に移動します。新年1月下旬には、南半球での観測条件がよくなり、太陽に最も近づきます。南半球では4等級まで明るくなった姿を楽しめることができるでしょう。日本で再び観測できるようになるのは、2月下旬以降です。明け方の南の空低い「いて座」付近に、肉眼ではみえない7〜8等級となっている見込みです。
ラフスケッチです
観測地:小牛田町の住宅地
8cm20倍双眼鏡使用