宮城県上空に、またも珍客現る!
2003年5月24日、宮城県各地で早朝から、空に白いものが浮かんでいるという目撃情報が報道機関や気象台、天文台等に寄せられました。
パレットおおさき(宮城県古川市)でも、午後1時頃にこの物体を南の空50°に確認。屋上天文台の望遠鏡でこの物体の写真撮影を行いました。
その物体は、白昼、強烈な太陽光もものとせず、白く輝く光点として輝いていました。一見、星のようにも見えますが、注意すると「点」ではなく、大きさを持つ面積体であることがわかります。まるで、明るく小さく白いドーナツが、空に浮かんでいるようにも見えました。
双眼鏡や望遠鏡でこの物体を観察すると、下の写真のように、大きな半透明のバルーンのようなものでした。望遠鏡で拡大して観察しているうちに、少しずつ北東方向に動いているのがわかります。しかし肉眼では、じっとしているのに等しいほど、その動きはわずかなものでした。この気球のような浮遊物体は、その後少しずつ北の方に動いていきました。
夕方になると、暗くなった空をバックに、マイナス6〜7等にもおよぶ強烈な輝きでした。それは、まるで自分の存在を人々にアピールするかのような明るさでした。
そして、太陽光が届かなくなる7時半ごろ、物体はオレンジ色に染まりながら明るさを落とし、8時前には望遠鏡でも見えなくなってしまいました。
↑2003年5月24日の浮遊物体の拡大写真
<月との大きさ調べ>
同じシステム、ほぼ同時刻に撮影した、浮遊物体と月の合成写真。 古川市からは、月の直径の約5分の1の大きさに見えていたことになる。 |
<2002年6月4日、白昼〜夕刻にも気球が原因の輝星騒ぎ>
2002年5月24日は、雲は多少あったものの、とても空の澄んだ日でした。
「ちょうど1年前の「あの日」も、こんなに青空がきれいな日だった! またあのような物体がくるかな」などと考えていたところ、その直感が見事当たりました。そう、去年の6月4日も、これと類似する出来事が起こっていたのです。昨年の輝星の正体は、宇宙科学研究所が岩手県三陸町から打ち上げた気球でした。
今回の浮遊物体も気球と思われますが、宇宙研の気球と同じではなさそうです。テレビや新聞等で報道された、宇宙研の気球は縦の縞模様が多数見られますが、望遠鏡の高倍率で物体の表面の様子を観察したときにはむしろのっぺりしていて、縦縞はありませんでした。仙台市天文台(佐藤敏秀さん)とパレットおおさき(遊佐)による、ほぼ同時刻の方位・高度の観測からは、16時30分頃のこの物体の位置は松島〜大郷町上空約40kmにあり、大きさは約20m〜30mという推定(誤差は大きいと思われます)がなされました。
<正体は、謎・・・>
では、この物体はなんだったのでしょうか。時刻からして気象観測用のゾンデではありません。高さからして、一般的な気球とは考えられません。また、人工衛星や宇宙における「星」、つまり天文現象でもありません。形状と高さ・大きさからすると、ヘリウム等を中に入れた、数十メートルに及ぶ大きなバルーン(気球)であろうとは思いますが、それがどこからやってきたかというと謎のままなのです。
文章・写真:パレットおおさき・遊佐