幻の日(太陽)と書いて、「げんじつ」とよばれる珍しい現象が、宮城県古川市のパレットおおさきから見ることができました。
太陽や月のまわりには、時折、大きな環ができることがあります。それは「暈(かさ)」です。高層の雲の中の小さな氷の結晶が太陽の光を屈折させて起こす、虹のようなものです。幻日も、暈と同じような理由で起こるのですが、幻日は、暈に比べると起こる頻度はかなり低い現象です。
幻日に気づいたのは、午後4時40分過ぎ。はじめはかなり明るかったのですが、カメラをセットした時刻(右の写真)には既に明るさ・大きさ共にピークは過ぎて、その後どんどん見えなくなっていきました。撮影時の太陽の高さは、地平線から測ってわずかに6度。 幻日は、太陽が高層の雲におおわれ、日差しが弱くなったときに、太陽のわきに見える異様な光のかたまりのこと。時にはどちらが本当の太陽なのかわからなくなるほど明るく見えることもあり、幻日とよばれています。
外国では、Mock Sun(まがいものの太陽)やSun Dog(太陽につきまとう犬)などともよばれています。日本の古記録では「五日並日」という記述もあって、幻日が同時に5個もみえたことになります。
幻日が見えるヒミツはは、高層の雲の中に含まれる大量の氷の結晶です。氷の結晶は、0.05mm〜0.1mmほどの六角柱の形をしています。
幻日が見えるときというのは、薄い板状の六角形の結晶が大量にあって、しかも、上空に風がなく大気が安定していて、結晶が水平に浮かんでいるときです。
このとき、太陽の光は、六角形の角に入って屈折し、約22度の角度で進んできます。ですから、太陽から22度ほど離れた場所に見えるのです。
本来、幻日は太陽をはさんで、左右22度のところに対になって2カ所見えるはずです(ごくまれに、90度、120度のところに見えることもあるようですが)。今回の幻日は、太陽から右側22度が晴れていたので、左側の光しか見えませんでした。
幻日は、しょっちゅう起こる現象でなく、もし現れても短時間でで消えてしまう光の現象。でも、春や秋に多いそうです。夜の空もきれいですが、昼の空にもぜひ注目してみてください。
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