2000年の天文現象
< も く じ
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今年の三大イベント
★今年の
三大天文イベント
松 7月16日皆既月食(継続時間1時間40分)
竹
夏、今世紀最後の大彗星になるかリニア彗星
梅 11月17〜19日、今年もしし座流星群に注目!
★概況
太 陽
11年ぶりに活動がピークとなる。肉眼でも見える大黒点が増加する他、プロミネンスやフレアなどの表面現象も増える。これらの様子は、パレットおおさきの屋上天文台で観測しており、体験展示室太陽モニターでリアル画面(曇天の場合は録画画面)でみることができる。大規模なフレアなどがおこると、磁気あらしにともなう通信障害などが心配される。一方で、日本でもオーロラが発生するかもしれない。
水 星
太陽に最も近いため、なかなか目にすることはむずかしい。比較的見やすくなるのは、夕方の西の空では太陽から東に最も離れる「東方最大離隔(とうほうさいだいりかく)」のとき、朝方の空では「西方最大離隔(せいほうさいだいりかく)」のときである。今年、夕方西の低空に比較的見やすいのは2月中旬・6月初旬。夜明け前の東の低空に見えるのは3月下旬と8月初旬、11月中旬である。
金 星
6月11日に太陽の向こう側にまわる(外合)ため、年初と年の後半のみ、それぞれ明けの明星・宵の明星として見える。4月下旬から8月までは太陽に近く、見ることはできない。
火 星
地球から遠ざかる一方で、10月末には約2億5千万q。望遠鏡での観望は難しい。しかし春には木星・土星に接近する様子が楽しめる。火星探査の話題も多くなるだろう。
木 星
太陽系最大の惑星で、ひときわ明るく輝く惑星の王者。11月28日に衝(しょう=太陽の正反対に位置)し、ほぼ一晩中見える状態)となるので、宵の空では秋〜冬に見ごろになる。今年は、土星とともにおうし座に入り、ヒアデス星団やすばるとの接近が楽しめる。5月28日に土星と再接近するが、白昼なので望遠鏡を使ってさがしてみたい。
土 星
木星とともに、宵に見やすいのは年初めと秋・冬にかけて。現在、シンボルマークである環が一番開いている時なので、小さな望遠鏡でも十分に楽しめる。
天王星
8月11日に衝。海王星とともに夏から秋に見やすい。5等級で、双眼鏡でも十分存在がわかる。暗い空では、肉眼でも存在がわかるかもしれない。望遠鏡をつかえば、神秘的な緑青色に輝く円盤状の姿が楽しめる。
海王星
7月28日に衝。7〜8等級なので、望遠鏡をつかえば、青色に光る円盤状の姿が楽しめる。
冥王星
14等という暗さで、パレットおおさきの30cmを使っても見ることは難しい。
彗 星
今年は、19個の周期彗星と、6個の新彗星が太陽に近づく。その中でリニア彗星が目玉。夏に3等級となり、長い尾をたなびかせるかもしれない。その他、彗星科学の発達に重要な地位を担ったエンケ彗星が7〜8月に、明け方の低空に8等で観測されるだろう。また、マクノート・ハートレー彗星が12月に6等台まで明るくなり、小望遠鏡でも見えるかもしれない。
小惑星
昨年末現在、12,971個の小惑星が確認されている。今年も新たに数千個加わる見込み。
明るい小惑星としては、ケレスが3月28日に衝(7等)、ベスタが7月17日に衝(5.4等)となり、双眼鏡でも十分見える明るさとなる。
流星群
8月のペルセウス座流星群、12月のふたご座流星群は月の明かりにじゃまされる。しし座流星群は、2001年に本当の極大が来るという予測もあるので今年も要注意。
日食・月食
今年は日食・月食が各2回あるが、日本では7月16日の皆既月食しか見れない。この皆既月食は、皆既継続が1時間40分にも達するみごとな月食となる。
星 食
月に星が隠される現象を星食(せいしょく)という。今年は明るい星や惑星の食はない。
その他の話題
ハワイに完成したすばる望遠鏡が、いよいよ本格的な観測態勢に入り、活躍が期待される。また、日本は電波・ガンマ線天文観測、国際宇宙ステーション建設などの分野で世界共同事業に参加する。
修理を終えたハッブル望遠鏡とともに、世界最大のX線天文衛星チャンドラーや、太陽観測衛星SOHO、日本のようこうなどの衛星観測の成果が期待される。
また、新たな小惑星や新星・超新星、彗星の発見にも期待したい。この分野における日本のアマチュア観測家の活躍は、今年も健在であろう。
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