星の話
すばる=プレアデス星団
(2000年1月)
現在パレットおおさきで投映中のプラネタリウム番組は「宇宙を見つめる瞳 すばる望遠鏡」です。みなさん、もうご覧になりましたよね?「すばる」は、おうし座の肩の部分にある美しい星の集団の和名です。語源は「統(す)ばる」とか、1300年ほど昔の大和時代、身分の高い人たちの首飾りとして身につけた、宝石を糸で結んだ「すまる」からきたとか言われています。望遠鏡などない当時から宝石のように美しい星とされていたわけです。
有名なのは、「春はあけぼの、ようようしろくなりゆく山ぎわ...」という書き出しで知られる清少納言(平安時代)の「枕草子」の次の一節ですね。
「星はすばる、ひこぼし、ゆうづつ、よばいぼし.....」 ひこぼし(わし座のアルタイル)や、ゆうづつ(金星)、よばいぼし(流れ星)など、明るく目立つ星より先にすばるをあげて、「やっぱり、すばるが一番きれいねえ」と、その美しさをたたえているのです。
すばるの正式名称はM45・プレアデス星団。130個近い、星の大集団です。写真に撮ると、青い星のまわりを、青いガスがとり囲んでいる様子がわかります。青い光は温度が高い証拠で、すばるは若い星の集まり。すばるの星ぼしはみな、周囲のガスから生まれたばかりの赤ちゃん星なのです。といっても、生まれて8000万年たっていますが。
私たちの太陽は50億年。人間にたとえれば、働きざかりの40歳。すると、すばるは3ヶ月と4週間の生まれたての赤ちゃんということになります。
ギリシア神話では、プレアデスは美しい7人姉妹の姿だとされています。父が巨人の神アトラス、母は妖精クレイオネ。娘たちが、マイア・エレクトラ・メローペ・アルキオネ・アステローペ・タイゲタ・ケレノということです。でも、考えてみれば、昔の人たちは、9個の星が見えていたということですよね。皆さんの目では、何個見えますか? 視力のよい方ですと、5個から6個ほど見えます。なかには、20個みえた、というツワモノもいたそうです。
ちょっと視力の話題にずれますが、視力というのは、見分けることのできる角度を分母にした数字であらわされます。角度の1分は、1度の60分の1ですが、この1分を見分けられる力を、1÷1、すなわち視力1とします。角度の0.5分を見分けられれば1÷0.5で、視力は2となります。
さて、冒頭に紹介したすばる望遠鏡は、<1分の60分の1(1秒)の、100分の1の角度>を見分けることを目標に現在調整中です。わかりやすい例えで言えば、<東京から富士山の頂上の人が持つ5円玉の穴>を見ることができる視力に相当します。すばる望遠鏡の視力はいくらでしょうか。ちょっと計算してみてください。