●有備館に伝わる天文儀
天文儀は天球儀ともいい、天を模型にしたもの。有備館に伝わるこの天文儀は、名取春仲が天文の学習に使用したものです。
天文儀には、たくさんの星と線が描かれています。今日私たちが親しんでいる西洋の星座ではなく、中国から伝わった星座です。しかし、つぶさにみてみると、線のひき方はちがっていても、星の位置は私たちが見慣れたものであることがわかります。昔の人も、今の私たちも、同じ星々をみていたのですから。
●中国・日本古来の星座
(1)歴史と特徴
中国の星座の歴史は約3000年前に始まったとされます。西洋の星座が動物や神様、人物、道具の「形」を表しているに対し,中国の星座は天帝(てんてい)を中心とする国のまとまりを形づくっています。中国の星座は,1個の星からなるものも少なくなく、数も300個以上にもなります。
(2)二十八宿
私たちになじみ深い「誕生日の星座」は,太陽の通り道(黄道)にあたる「黄道12星座」。中国星座も、月の通り道(白道)にそって28の星座がつくられています。「二十八宿(にじゅうはっしゅく)」です。
二十八宿は,月が27.5日で天球を1周することから、一晩ごとに1つの星座を動いていくように割り振られたもので、この星座を「星宿(せいしゅく)」とよびます。二十八宿の出発点は、おとめ座のスピカで、ここを「角宿(かくしゅく)」とよびます。
また、28の星宿は,東方・青竜(せいりゅう)、北方・玄武(げんぶ)、西方・白虎(びゃっこ)、南方・朱雀(すざく)というように、7個ずつの4グループに分けられています。青竜・玄武・白虎・朱雀は、奈良の高松塚古墳やキトラ古墳の石室にも描かれてるなじみ深い4つの獣神のことです。
(3)空に描かれた、壮大な国家体系
夜空の中心・北極星は「天帝」の座。
北極星を中心とする北天の星座は「中官」で、位の高い順に「紫微垣(しびえん)」・「太微垣(たいびえん)」・「天市垣(てんしえん)」に分かれ、宮殿の庭園・官庁・役人から市場や庶民の生活の場へと代わっていきます。また、これらを「三垣」ともいいます
北極星からずっとはなれた南の空には、「外官」とよばれる、二十八宿や周辺の星座がおかれています。
☆☆ 関 係 リ ン ク ☆ ☆
・中国二十八宿を星空にたどる (栗田直幸さんホームページ)
・キトラ古墳の星宿図 (出雲晶子さんホームページ)
企画展示
「岩出山の天文暦学者・名取春仲と
古代中国星座の世界」
1階プラネタリウム館入り口にて展示しています。
名取春仲模写「坤輿万国全図・天文図屏風」(仙台市博物館蔵)のレプリカ,中国星座と現行星座の対照表をごらんください。
プラネタリウム番組
「岩出山の歴学者・名取春仲」
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